2015年10月29日木曜日

リアル図書館戦争

みなさん、こんにちは!ご機嫌よろしゅうございます。

本日の私はとても怒っています。というのも、こんな記事を偶然見つけてしまったからです。
ちなみに私は図書館に何か特別な思い入れがあるわけでも、回し者でもありません(笑)。むしろ私個人としては図書館には行かず買って本棚に並べて置いておきたい派なので、擁護する理由もありません。(だから買っておいてまだ読めてない本が山積みになっているわけですが...笑)



本が売れぬのは図書館のせい? 新刊貸し出し「待った」
朝日DESITAL 2015年10月29日05時16分




    写真・図版
  •  公立図書館の貸し出しにより本が売れなくなっているとして、大手出版社や作家らが、発売から一定期間、新刊本の貸し出しをやめるよう求める動きがある。背景には、深刻化する出版不況に、図書館の増加、サービス拡充もある。本を売る者と貸す者、相反する利害のはざまで、出版文化のあり方が問われている。
 「増刷できたはずのものができなくなり、出版社が非常に苦労している」。10月半ば、東京都内で開かれた全国図書館大会の「出版と図書館」分科会。図書館関係者が多くを占める会場で、新潮社の佐藤隆信社長が、売れるべき本が売れない要因の一つは図書館の貸し出しにある、と口火を切った。
 佐藤社長は、ある人気作家の過去作品を例に、全国の図書館が発売から数カ月で貸し出した延べ冊数の数万部のうち、少しでも売れていれば増刷できていた計算になると説明。司会役の調布市立図書館(東京都)の小池信彦館長が「それは微妙な問題で……」と言葉を濁す場面もあった。
 新潮社を旗振り役に大手書店やエンターテインメント系作家らが、著者と版元の合意がある新刊について「貸し出しの1年猶予」を求める文書を、11月にも図書館側に送る予定だ。



■困惑する図書館協会
 背景には、2000年代以降、深刻化する出版不況がある。国内の書籍(雑誌を除く)の売り上げはピークの1996年から減る一方で、14年は7割弱に落ち込んだ。漫画などを持たない文芸系出版社はとりわけ苦境にある。
 大手出版社の文芸作品は一般的に、最初に刷った部数(初版)の9割が売れて採算ラインに乗り、増刷分が利益となるといわれる。数十万部に到達するベストセラーはまれで、大御所から中堅人気作家による初版2万~3万程度の作品で収益を確保できるかが死活問題だ。だが、近年はこれらの作品でなかなか増刷が出ないという。
 出版不況の一方、全国の公共図書館(ほぼ公立)は増加傾向にある。10年で400館以上増え、3246館に。貸出冊数も軌を一にする。
 今回の「貸し出し猶予」の要請の動きに、日本図書館協会は困惑する。山本宏義副理事長は「図書館の影響で出版社の売り上げがどのくらい減るかという実証的なデータがあるわけではない」と話す。



まさに、「愚の骨頂」ともいうべき記事です。

裏づけのあるデータがあるわけでもなし、こんなものは単なる印象論によるイメージ操作に過ぎません。
「動画サイトやインターネット配信などのせいでCDが~」というのと全く同じ。こういうことを言う人のことを「思考停止症候群」というのですよ。
反論があるなら、具体的な数字やデータで「図書館のせいで新刊が売れなくなっている」と示してみてください。
...
新潮社の佐藤社長「増刷できたはずのものができなくなり、出版社が非常に苦労している」「売れるべき本が売れない要因の一つは図書館の貸し出し」
よくもまあここまで傲慢に「新刊本が売れないのは図書館のせい」だとよく断言できたものですね、佐藤社長?
文芸書が図書館の買い上げによって買い支えられているという点については完全に無視し、自分たちにとって都合の悪い事実からは目を背けさせ、印象操作によって図書館を悪者扱い...まさに下衆のご都合主義の極み。

図書館が貸し出しを一定期間控えれば増刷できていたはず、というのも出版社側の誠に身勝手な推測でしかありません。
実際、「図書館のせいで~」論は1970年代から何度も言われているが、図書館学の方から統計データを出すと図書館で貸出冊数が増えると近隣書店の売上も増えるというデータが出ています。
これでも図書館のせいだと言えますか?

図書館があるからこそ子供は自由に本に触れられ、それが読書という習慣につながっていると思います。そもそも利害は相反していないのです。むしろ作家も出版社も図書館に食わせてもらっている部分もあるのだと認識すべきだと思います。
図書館で借りて読み、面白ければ買うという人って意外と多くないですか?

日本では長年「漫画を読むと本を読まなくなる」と漫画を目の仇にしてきたようですが、最新の調査では漫画を読まない子はそもそも本を読まないことが判明したそうです。ボロが出ちゃいましたね(笑)。
そして今度は「新刊本が売れないのは図書館のせい」...自分たちの企業努力が足りないから売れないのだという事実に、いい加減向き合ったらどうですか。
いつまでも他者を攻撃して、責任転嫁し続けている限り未来はないと思いますよ。

1996~7年をピークに書籍の売り上げが減っている、これは何を意味しているのか?97年の橋本政権での消費税増税や緊縮財政などの間違った経済対策により、日本のデフレ不況が深刻化し始めた時期とほぼぴったり重なります。
要するに、新刊本を毎回買う余裕がある層が少なくなり売れなくなっただけなのです。
図書館に行ってまで新刊を読むという人がそこまで多いとも思えませんし、またそういう人は図書館から新刊が無くなったところで買うとも思えません。
こうして図書館にすべての責任を押し付け、買うことはできなくても図書館で借りてまで読みたいという人たちを減らしたら、ただ単純に読書をする人が減るだけで、日本の文芸は廃れる一方になり本当に滅んでしまうと思います。
それはひいては日本の国力を落とすことにつながってしまいます。

出版業界のやっていることは、まさに売国行為そのものといっても過言ではありません。

「電子書籍が」「図書館が」と本来、味方であるはずのものを敵視してどうするのでしょうか。
今こそ、一丸となってまとまり、根本的な原因である「日本人の本離れ」と「デフレ不況」という問題に立ち向かっていくべきだと思います。

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