2016年8月31日水曜日

「ストレス」と腰痛

みなさん、こんにちは!ご機嫌よろしゅうございます。

今回も腰痛について。
私も腰痛に限らず、様々な慢性的な体の原因について説明する時に「いわゆるストレス」の話をしています。
この記事ではそれ以上詳しく書いてありませんが、「いわゆるストレス」がどうして影響するのかを説明するためには脳科学は外せません。
そこを書くと長くなってしまうのでここでは書きませんが、「ストレス」と一言で言うのは簡単ですが実際にはいろいろあります。
「ストレスで腰痛になる」と言うと、「ストレス」という言葉にやたらと過剰に反応する方が患者さんにも医療者にもたくさんいます。
ですので、便宜上「ストレス」という言葉を患者さんに説明する時にも使いますが、「ストレス」という言葉のみに反応するのではなく、要するに「原因は体の方にあるのではなく、脳(内面)にある」という本質を理解して欲しいなと思います。




精神的なストレスが慢性的な腰痛を引き起こす!
そのメカニズムとは?

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自分の腰痛の真の原因を知らずにいると深刻な結果になることも... shutterstock
 3カ月以上続くような慢性腰痛の多くには、ストレスが関わっている。骨や筋肉の問題がないわけではないが、ストレスがその痛みを増大させている。慢性腰痛にはストレスによる心因性の腰痛が非常に多いのだ。
 腰痛と言えば、原因として腰椎間板ヘルニアを思い浮かべる人が多いだろう。だが、実は腰痛のない健康な人の8割近くに椎間板ヘルニアがあり、ヘルニアがあっても痛みを感じていない人が多く、腰椎間板ヘルニア=腰痛の図は成立しないことがわかっている。
 痛みの原因となりうる状態があっても、痛みを感じる人と感じない人がいる。その両者を分けているのが、ストレスだ。ストレスは「気のせい」ではなく、体の仕組みとして、腰痛を起こしたり、腰痛を強めたりする。

ストレスが人体に与える影響とは?

 そもそもストレスとは何なのか? ストレスは必ず体に悪いものなのか?「適度なストレスはむしろ必要」という話を聞いたことがある人もいるのではないだろうか?
 ストレスはもともとは物理学用語で「物体に力が加わった時に生じる『ひずみ』」を指し、医学用語でも「刺激が体に加えられた結果、体が示すゆがみや変調」を指す。一般的に使われている「ストレス」は、ストレスを引き起こす刺激や環境要因を指す医学用語「ストレッサー」に値する。
 人間関係や社会的な状況などから来る心理的なストレッサーばかり思い浮かべがちだが、暑さや寒さ、騒音などの物理的なストレッサー、汚染した空気や薬物、アルコールなどの科学的ストレッサー、細菌や花粉などの生物学的ストレッサーもある。
さて、ここから後は、「ストレス」という言葉を、医学用語の「ストレス」ではなく、一般的な意味で用いていくことにする。
 ストレスはいったい人体にどのような影響を与えるのだろうか?
仕事のプレッシャーや夫婦喧嘩など、社会的な問題がストレスになるようになったのは、人類の歴史から見れば、ほんの最近の話。人類が誕生してからこれまでの99%以上の時間、人類のストレスは獣などを倒そうと戦うか、獣などから逃げるかというシーンでのストレスだった。
 ストレスによって体に最初に起こる反応は、実はこの戦ったり、逃げたりしなければならない状況において、優位にしてくれている。ストレスは人体を戦闘モードや逃走モードにするスイッチなのだ。
 たとえばストレスは高血圧のリスクとして知られている。ストレスがかかると、血圧が上がり、脈拍が速まる。実はこの状態は、すばやく動きやすい、戦闘や逃亡において優位な状態だ。しかし、その状態が長く続けば、血管への負担は大きく、血管がボロボロになり、脳出血や脳梗塞、心筋梗塞などの命に係わる病を引き起こす。ストレスがかかると消化活動が止まる。戦いの最中に消化が進んでトイレに行きたくなっても困るからだ。しかし、いつまでも消化しなければ、体は栄養を取れない。ストレスがかかると手に汗をかくのは、逃げるときにつかまった手が滑りにくいように、また、つかんだ武器を取り落さないようにするためだ。戦闘モードや逃走モードは生き抜くために必要だが、決して、長く続けられるモードではない。
 人体には痛みの感じ方を抑制するシステムが備わっていて、ストレスがこのシステムの働き方にも影響を与えている。そもそも人体は日々の動作の中でも常に痛みを感じている。歩行の際、上げた足を下ろす時、感じる痛みによって、足を地面につける力加減を調整する。そのたびに「痛いっ!」となっては、身が持たない。そこで常日頃は、脳から分泌されるノルアドレナリンやセロトニンによって、「下行性疼痛抑制系」システムが関節への衝撃で感じる痛みを適度に抑制している。
 ストレスを感じると、最初は戦闘意欲や逃走反応をかきたてるノルアドレナリンや意欲をかきたてるドーパミンの分泌が増えて戦闘モードに入り、同時に暴走しすぎないようにコントロールするセロトニンの分泌量も増える。興奮状態のときは痛みを感じづらくなる。
 しかし、現代社会では、ストレスは社会的なものが多く、戦う、逃げ出すといった身体的反応は実行に移せない。よりストレスがたまる。ストレスが長く続くと、やがてセロトニン等が枯渇する。その結果、「下行性疼痛抑制系」システムの働きは悪くなり、痛みは脳に強く伝わるようになる。結果、ストレスにより、痛みは増大する。

ストレスがストレスを、痛みが痛みを呼ぶ仕組みとは?

 ストレスを感じたとき、戦闘か逃走を即時に選べた原始時代とは異なり、現代社会ではその場でストレスを解決することができない。上司とそりが合わず、毎日、いら立ちを募らせても、解決の糸口はない。いつか部署を変わるくらいしか望みはない。その状態がストレスを拡大する。仕事と子育てで毎日くたくたなのに、自分は遊びほうけている夫にいらだつ。いくら言っても聞き流されてしまう。すべてを捨てて逃げることもできない。ストレスはたまるばかり。
 ストレスがたまったあげくに、デスクワークでの座りすぎや、こどもを抱きかかえての家事で腰痛。腰痛は「動いたら、また痛むのではないか?」という不安を呼び、腰痛そのものがストレスだ。さらに腰痛のためにやりたいことができずにストレスになる。
 病院に行けば、これほど痛いのに「どこにも異常はありません」。この医者ではだめだと他の医者にかかっても同様。病院への不信感がつのる。ようやく腰椎間板ヘルニアと診断され、「手術をしたら、すべて解決!」と思ったのに、手術後に痛みがゼロにはならない。病院への不信感と、痛みのストレスでいっぱい。
 また、痛みが長く続くことにより、痛みが生まれる。腰椎や周辺の筋肉など組織が損傷した痛み が継続すると、損傷した組織が修復された後も痛みが神経に記憶として残ってしまうことがある。よく腰痛に痛み止めを処方されて、「その場限りのごまかしだ」と思う人がいる。しかし、痛み止めで痛みを止めないと、痛む原因がなくなった後まで、神経に痛みの記憶が残り、原因もないのに痛みを感じ続けることになるので、痛み止めを使うべきときがあるのだ。

2016年8月26日金曜日

85%の腰痛が原因不明

みなさん、こんにちは!ご機嫌よろしゅうございます。

今日は腰痛関連の記事で、久しぶりに比較的まともなものを発見したので、ご紹介します。
特に後半部分。私が繰り返し患者さんにお伝えしていることですが、要するに「レントゲンやMRIなどに写る画像上の変化と、痛みやしびれなどの症状は多くの場合、関係がない」ということです。
この事実は既に科学的に証明されていますし、臨床上でもちゃんと患者さんと真摯に向かい合っていれば明らかなのですが、なかなかこういった事実と素直に向き合えない医療者が多いようです。

その結果、無駄な手術や治療により治らなかったり、あまつさえ悪化させられてしまったり...軽はずみな医療者の言動により絶望の淵に叩き落されてしまったり諦めてしまったり...。
こういった患者さんが未だに後を絶たないのが現状です。

この現状には医療者、治療家としてはただただ怒りの感情しかありません。また、患者さんから「レントゲン撮って...と言われた」「MRIを撮って...と言われた」などと聞くと怒りを通り越して呆れかえってしまいます。
そして、つらそうな患者さんを見ているととても悲しくなります...一日も早く「痛みの真実」に一人でも多くの人が気づき、痛みから解放される人を増やせるよう、こういった「真実」伝えていきます。




85%の腰痛がなぜ原因不明とされるのか?
医者と患者はすれ違っている!?

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腰痛を引き起こす原因はあまりも膨大shutterstock.com
 腰痛の人は日本全国で推定2800万人いると言われている。特に中高年に多く、40〜60歳代の約4割が腰痛に悩んでいる。腰痛を感じて病院に行き、すぐに治っていれば、こんなに腰痛持ちが多くなるわけがない。つまり、病院で解決できていない腰痛が多いということだ。
そして腰痛は、解決できない以前に、85%は原因すら特定できない「非特異的腰痛」、診断名で言えば「腰痛症」なのである。

85%もの腰痛が「原因不明」で「異常なし」である理由

 たとえば、ぎっくり腰で這うようにして病院に行き、レントゲンを撮り、さらにMRI検査まで行ったのに「どこも異常はありません」と診断されることがある。「まともに立って歩くこともできないのに、異常がない!? そんな馬鹿な!」と思うが、これは実によくある話だ。
 医師の「異常なし」と患者の「異常なし」には乖離がある。この場合、医師の「異常なし」は決して「どこも悪いところはない」という意味ではない。医師が考える一刻を争う重篤な病気や、レントゲンなどに映る骨の異常などはないというだけに過ぎない。
 患者は医師に「黙って座ればピタリと(悪いところを)当てる」ことを期待する。少なくともレントゲンやMRIなどを撮れば、どこが痛みの原因なのか、見つけられるはずだと考える。最適な治療法は必ず1つしかないはずだと思っている。
 しかし、それは患者の幻想だ。医師は最初に鑑別診断を行う。患者が一番に訴える症状を聞いて、その症状から考えうる疾患リストを頭の中に思い浮かべる。腰痛の原因となる疾患は実にいろいろある。尿路結石やすい臓炎などの内臓の病気、腹部大動脈瘤など血管の病気、化膿性脊椎炎や結核性脊椎炎などの背骨の病気、そして、もちろん椎間板ヘルニアや腰部脊柱管狭窄症などの整形外科的疾患まで、そのリストは膨大だ。
 腰痛を引き起こす疾患リストの中のいずれなのかを絞り込んでいくことになるのだが、医師はそこで除外診断を行う。除外診断とは、がんなどの一刻を争う病気や手当をしないと危険な骨折など、より重篤で治療を急ぐ病気の可能性をひとつひとつ確かめて除外していく診断だ。この除外診断のために、レントゲンなどを撮るのだ。
 そして、一通り考えられる重篤な疾患の可能性を排除できたとき、医師はほっとした思いと共に「異常はありません」と言う。しかし患者は、痛いのに「異常がない」はずがないと思うから、医師に不信感を抱くし、医者は役に立たないと感じる。処方された鎮痛剤をごまかしだとすら思ってしまう。
 痛いのに「異常がない」状態とは、いったいどんな状態なのか? たとえば、ぎっくり腰はおおむね「腰の捻挫」である。捻挫とは、関節に無理な力がかかって可動範囲を超える動きをしたことにより、骨と骨がずれはしなかったものの、関節の周囲の靭帯が伸びるなどして内出血や炎症を起こした状態。骨に異常はないし、靭帯が切れたわけでもないので、レントゲンには異常が映らない。従って、医師は原因をおおよそ推測はしているが、どこの部分がどう損傷しているかはっきりとは特定できない。この場合、このぎっくり腰は、腰痛の85%である原因が特定できない「非特異的腰痛」と診断される。
 しかし、捻挫はしばらくすれば、おおむね自然に治る。痛みが3か月以内に治まれば急性腰痛。ところが3カ月過ぎても痛い、それどころか何年も痛いことがしばしばある。非特異的腰痛の慢性腰痛だ。

しばしば解決にならない「腰椎間板ヘルニア」の診断

 
 腰痛と聞くと、多くの人が思い浮かべる「腰椎間板ヘルニア」。脊椎の硬い骨である椎体と椎体の間にある、クッションと関節の役目を果たす軟骨の一種、椎間板が、骨の間から飛び出してしまった状態である。飛び出した椎間板が神経を圧迫すると神経痛が生じて、痛みや痺れ、運動麻痺などが起こるとされている。多くの日本人が「腰痛=腰椎椎間板ヘルニア」と考えるが、実は腰痛のうち腰椎椎間板ヘルニアはわずか4〜5%に過ぎない。
 それでも椎間板ヘルニアと診断されれば、原因箇所もはっきりして、治療方法もはっきりあると思っている人が多いのではないだろうか?
 実は「腰椎間板ヘルニア」の診断は難しい。レントゲンでは「もしかしたら......」ていどしかわからない。MRI検査などをすれば確率が上がるので、自分の腰痛の原因を知りたいと思いつめた患者は、医師に迫って、お金をかけて検査する。それでも「腰椎間板ヘルニア」と断定できない場合もある。
 患者は悪い個所があれば、どこの病院で誰が撮ろうが、レントゲンやMRIにまちがいようもなく映るものだと思うが、これまた幻想。整形外科のさらに腰痛を専門とする医師が、まず患者から、いつ、どういう動きをしたときに、どこがどう痛むのか、丹念に時間をかけて聞き出して、腰痛を引き起こしている問題個所が腰のどのあたりなのか、見当をつける。そのうえで、その部分をその問題個所が映りやすいように、さまざまな角度から技師が映す。その画像を専門家が分析しながら読み込んで、ようやく見つけられる。
 では「腰椎間板ヘルニア」と確定診断が出たら、治療が進み、すっきりと腰痛とおさらばできるのか?
 実はそもそも「腰椎間板ヘルニア」と腰痛は必ずしも結びつかない。1995年に国際腰痛学会で報告された、衝撃的な研究がある。腰痛を訴えて椎間板ヘルニアと診断された人と、腰痛の経験がない健康な人を調べたところ、健康な人の76%に椎間板ヘルニアが、85%に椎間板変性が発見された。椎間板変性とは、加齢などにより椎間板が老化して、椎間板の水分が減少することにより弾力性が失われた状態のこと。椎間板の一部にヒビが入り、痛みが走ることがある。この研究により、椎間板に異常があっても、ほとんどの人は腰痛を感じないことが明らかにされた。
 異常の程度問題で、異常がひどく、ヘルニアのため神経がひどく圧迫されているから痛むケースもある。しかし、痛みを感じていない人と感じている人の異常の程度が変わらない場合も少なくない。腰痛があり、かつ腰椎間板ヘルニアがあったら、腰椎間板ヘルニアが腰痛の原因だと考えるが、実は2つにはなんの関係もなく、ヘルニアの治療をしても、痛みが減らない可能性も大いにある。
 椎間板ヘルニアなど異常がはっきりわかれば、すっきり治るわけではなさそうだということがわかるだろう。そもそも、患者は医師に「治す」ことを期待しているが、治すのは実は患者自身であり、医師はそれを手伝うに過ぎない。特に「異常がない」腰痛の場合は、医師が手伝えることは少なく、治す主体は患者自身である。
 さらに衝撃的な事実を伝えれば、ヘルニアがあっても「様子を見ましょう」と、ときどき診察で確かめるだけで治療を行わずにいると、9割のケースでヘルニアは自然に消滅してしまう。
「腰椎間板ヘルニアだった! 手術してすっきり治して、腰痛とおさらばだ!」という考えが、いかに甘いかわかってきただろう。だから、かつては多かった腰椎間板ヘルニアの手術は、近年、あまり行われなくなった。手術しても治らない、むしろ悪くなった、と不満を持つ結果が多いからだ。
 原因不明の慢性腰痛の真の原因は、いったいどこにあるのか? 実はそこには腰痛に対する根本的な考え方や、治療のしかたに関するまちがいがあったのだ。多くの腰痛のレントゲンには映らない原因とは何か? 次回はそこに迫る。

2016年8月24日水曜日

サプリメントの害

みなさん、こんにちは!ご機嫌よろしゅうございます。


昔は「サプリメントなんて絶対にダメだ!」と頑なに思っていました。私のことをご存知の方であればお分かりかと思いますが、そうなんです。頑固なんです(笑)。

しかし、今は必要に応じて良いものを摂取する分には良いと思っています。
なぜなら、今は安全な食べ物が非常に少なくなってしまっているからです。
とはいえ、サプリメントのみに頼りきりではもちろんいけません。サプリメントはあくまで補助であり、基本は食事です。
ここを外さなければ、あとはちゃんとした物を選びさえすれば良いのではないでしょうか?



サプリメントに入っている多くの添加物が、

健康障害を引き起こしかねないという皮肉


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サプリメントに含まれる添加物にも注意を shutterstock.com
 サプリメントは、ビタミンやミネラル、アミノ酸など不足しがちな栄養素を補給するためにあるのですが、実はそれ以外にも様々な添加物が使われていることが多いのです。
それは必要な栄養成分だけをカプセルや錠剤、液体にすることは困難だからです。
さらに、味を調えたり保存期間を長くしたりしようという目的が加わると、使われる添加物は増えていくことになります。

添加物が9割を超えるようなものも

 ではどんな添加物が使われているのでしょうか。
 サプリメントを作る上で最低限必要なのは、①粉がさらさらになるようにして、機械の中で詰まらないようにし、原料を均一に混ざるようにするもの(錠剤やハードカプセルを作る際)、②粉を固める材料(錠剤用)、③セルロース、グリセリン、ゼラチン、プルラン、HPMCなどのカプセルの素材です。
 これらは、機械で製造しやすく、錠剤やカプセルにするために不可欠の材料です。
これに食べやすい味にするための甘味料や着色料、香料、長持ちさせるための保存料、増量剤などが加わってきます。
サプリメントによって目的とする成分や材料が微量の場合、添加物が9割を超えるようなものもあります。そこまで来ると、サプリメントを飲むというより添加物を飲んでいると言う方が的を射ているような状態になってしまいます。
 錠剤にするため、粉を固める「賦形剤」としてよく使われる「乳糖」は、乳糖不耐症の方や牛乳にアレルギーのある方にとって注意が必要な成分です。
 添加物をいくつも使うことで新たなリスクも出てきます。例えば清涼飲料水に使われるビタミンCと保存料の安息香酸の二つが反応すると、体にとって有害なベンゼンが発生する可能性が指摘されています。

気になる合成甘味料や糖類

 特に液体、ドリンクタイプのサプリメントの添加物で気になるのは合成甘味料です。美味しく飲みやすくし、賞味期限を長くするために合成甘味料や香料、保存料が多用されているのですが、合成甘味料にもいろいろあります。アスパルテーム、アセスルファムK、スクラロースなどはお勧めできない顔ぶれです。いろいろな情報を勘案すると、必ずしも「体にとって害なし」とはいいがたいからです。
 また、ゼリーやドリンクには、味をよくするため、「糖類」が多量に含まれていることが少なくありません。そうすると、糖類が原因となって「糖化ストレス」を引き起こす問題が出てきます。
血中の糖は、タンパク質と結合して最終糖化産物という物質になるのですが、糖の摂り過ぎによってこの物質が増え、血管や細胞を傷つけるなど体の中で様々なトラブルを起こすのです。肥満や糖尿病、動脈硬化、神経障害といった病気や健康障害の引き金になります。皮膚や骨のコラーゲンも糖化ストレスでもろくなってしまう変化を引き起こします。
 一部の添加物はサプリメントを作るうえで欠かせない物質ですが、無くてもよいものは極力なくし、できるだけ体に害を与えない安全性に優れたものを選ぶべきでしょう。しかし、現実にはそうでない製品が少なくないことも事実です。サプリメントの目的成分だけでなく、どんな添加物が使われているのかにも気を使い、自分の身を自分で守る目を養うことが大切です。

2016年8月23日火曜日

“健康”食品で健康被害という皮肉

みなさん、こんにちは!ご機嫌よろしゅうございます。

本日の記事ですが、少々長いです(笑)
ただ、要するに“いわゆる健康食品”といわれるようなものに依存するのではなく、きちんとした食生活を送り、自分の身は自分で守りなさい、ということです。

やれ「トクホ」だ「健康な食事」だと国民がそれに踊らされているうちは、同じような制度や食品は永遠に出続けます。
当たり前です。国民がそれを「求めている」のですから。
誰も見向きもせず買ったりもしなければ、当然、企業も売らなくなりますし、国もそんな「国民ウケの悪い」制度など作らなくなります。

国民ひとりひとりが健康に対してきちんと意識を持ち、そういったものに頼らず健康管理をしていくことが、何より大事なのではないでしょうか?



健康食品、規制緩和で健康被害急増?
届出制により安全性・有効性の審査が形骸化か
「Thinkstock」より

機能性表示食品が4月にスタート

健康食品の機能性表示を解禁いたします」
 4月から新たな機能性表示食品制度がスタートした。安倍晋三首相は国民が健康を自ら守ると共に、特に資本力の弱い中小企業・小規模事業者のビジネスチャンスのために、米国の制度を参考に世界最先端の新制度をつくると胸を張り、このように宣言した。
 だが、科学的裏付けを欠く米国サプリメントを手本にした国の審査・許可不要の新制度で、果たして国民は健康になるのだろうか。

トクホと“いわゆる健康食品”の差

 戦後の高度経済成長を経て飽食時代を迎えた1980年代、生活習慣病に関する啓蒙が進んだことを皮切りに健康志向が強まり、体調を整えるなどの食品の機能性にスポットライトが当てられた。一方で、医薬品まがいの健康食品が横行し、さまざまな健康被害が起きた。
 そこで当時の厚生省は91年、健康食品の中で機能性を表示できる例外として、特定保健用食品(通称・トクホ)制度をスタートさせた。トクホは食品の有効性(機能性)・安全性について国の審査を受けると共に、表示についても国の許可が必要だ。
 2001年、トクホに次いで栄養機能食品制度が創設された。これはビタミンとミネラルの栄養成分の機能を表示できるが、トクホと違い、国の審査・許可は必要ない。
 トクホと栄養機能食品の2つは、総称して保健機能食品と呼ばれる。健康食品の中からこの保健機能食品を除いた、錠剤・カプセル・粉末などの医薬品に似た形状のサプリメント、栄養補助食品や健康補助食品などは、通称“いわゆる健康食品”と呼ばれる。
 トクホであれば、「おなかの調子を整えます」「脂肪の吸収を穏やかにします」などの表示が許されるが、“いわゆる健康食品”では、「毎日を健康に過ごしたい方へ」「いつまでも元気に歩きたい方へ」など、あいまいなイメージ的表現しか許されない。

企業と消費者とのトレードオフ

“いわゆる健康食品”に加え、野菜などの生鮮食品や一般の加工食品など、すべての食品の場合、(1)国が定めるルール(食品表示法の食品表示基準)に基づき、(2)企業の自己責任で食品の安全性・機能性に関する科学的根拠などの必要事項を、(3)販売予定の60日前までに消費者庁長官に届け出れば、(4)トクホ並みの機能性表示ができる――というのが、機能性表示食品だ。
 厳しい審査・許可を受けずに届出だけで、トクホと同等の表示ができる機能性表示食品は、まさに“いいとこ取り”だ。これは企業に対して極めて異例な特別待遇ではないだろうか。
 食品の機能性・安全性の問題は、企業と消費者との間のトレードオフ、「あちらを立てれば、こちらが立たず」の関係になりがちだ。つまり企業の特別待遇は、逆にそれだけ機能性表示食品を摂取する消費者が、期待外れや意味のない出費、健康被害などのダメージを受ける機会が増えることを意味してはいないか。

企業の特別待遇の経緯

 なぜ、このようなことになったのか。
 第二次安倍政権発足間もない13年1月に始まった規制改革会議の検討項目の1つとして、「一般健康食品の機能性表示を可能とする仕組みの整備」についての議論が行われた。
 そこでは、特に(1)栄養機能食品は対象成分がビタミンなどに限定されている、(2)トクホは安全性・有効性を確認するための臨床試験(ヒト対象試験)が必須であり、そのための時間と多額の費用がかかり、中小企業にとってはハードルが高い――などの問題が指摘された。
 その結果、14年6月半ば、機能性表示を容認するとした「規制改革実施計画」と「日本再興戦略」について、閣議決定がなされた。
 それは(1)米国のダイエタリーサプリメントの表示制度を参考にする、(2)国ではなく、企業などの責任で科学的根拠を基に機能性を表示できる――といった新たな方策を検討するために、消費者庁に「食品の新たな機能性表示制度に関する検討会」が設置された。
 14年7月末、食品の新たな機能性表示制度に関する検討会報告書が作成され、それを受けて
「機能性表示食品」が食品表示法に基づく食品表示基準に定められた。同基準は今年3月に公布され、4月から施行された。
 

科学的裏付けを欠くデタラメさ

 日本の機能性表示食品制度の参考にしたのが、米国の、食品の補充を意味する「ダイエタリーサプリメント」の制度だ。これは日本の厚労省に当たる食品医薬品局(FDA)の許認可は不要で、販売後30日以内にFDAに届出をすれば、事業者の自己責任で「関節の健康促進に寄与します」など構造・機能表示が可能だ。食品は錠剤、カプセル、粉末などサプリメントに限られ、疾病リスク低減表示はできない。
 だが、この米国の「ダイエタリーサプリメント」には重大な問題がある。米国保健福祉省監察総監室の12年の報告によれば、次のようなことだ。
 同監察総監室が、体重減少・免疫機能に関する127の製品を対象に表示の適切さについて調査した。その結果、127製品について事業者から提出された557件の臨床試験データのうち、有効性に関する表示内容を実証するために重要な4点(表示とその根拠)のすべてについて考慮したと考えられるのは、1件もなかったという。
 また、20%の製品では禁止されているにもかかわらず、疾病に関する表示がなされていた。このほか、構造・機能表示の根拠として、30歳大学生の手書きの学期末レポートを提出した例もあるというから驚くほかはない。まさに科学的裏付けを欠くデタラメのオンパレードだ。

消化器・皮膚系が多い日本の健康被害

 一方、日本の“いわゆる健康食品”などの健康被害について、こんなデータがある。食品の新たな機能性表示制度に関する検討会の資料によれば、09年4月~14年2月末に消費者からの申し出が約2700件(ただし、因果関係などは未確認)あった。
 特に消化器や皮膚系の事故情報が多く、「サプリメントを飲んで激しい腹痛、下痢、嘔吐で脱水症状になり、1 日入院した」「健康食品を購入して1カ月ほど飲んでいたら、顔に湿疹が出てきた」などのほか、治療に1カ月以上かかった例が167件あった。また13年の重大事故として、健康食品の1カ月服用による急性肝炎や、健診で薬剤性肝障害と診断されたケースもある。

“いわゆる健康食品”への期待と依存

 健康被害の多発にもかかわらず、14年3月、15~79歳の全国男女3000人対象の消費者庁の調査では、興味深い結果が出ている。
 それによれば、調査前の1年間に健康食品を摂取した人は全体の4割以上(43.8%)で、(1)妊娠中・妊娠計画中、(2)20~64歳(なんらかの疾病あり)、(3)中学生以下の子どもに健康食品を与えている、(4)65歳以上の高齢者の順で多かった。
 摂取した健康食品の種類は全体でトクホが4割以上(44.7%)で、次いで“いわゆる健康食品”が4割近い(38.4%)。
 なぜ“いわゆる健康食品”を摂取するのだろうか。“いわゆる健康食品”に関する次の4つの質問に対し、「とてもそう思う」と「そう思う」を合わせると、いずれも全体のうち(1)食事で摂取しにくい栄養成分を摂取できる(70.2%)、(2)摂取で健康維持(53.8%)、(3)摂取で病気予防(46.5%)、(4)試験などで安全性が証明(41%)と、肯定的な回答の比率が高い。健康被害をよそに、健康不安に駆られて“いわゆる健康食品”に期待し、依存する人が多いようだ。
 ちなみに“いわゆる健康食品”の市場は、90年代初めの4000億円から13年には1兆2100億円へと約3倍に伸びた。トクホの同13年の6100億円を加えれば、健康食品は1兆8200億円の巨大市場だ。17年には市場規模が2兆1450億円へ急拡大するとの報告もある。

届出制度の形骸化で健康被害増加か

 機能性表示食品について、消費者団体などはどう見ているのか。日本生活協同組合連合会はまず「消費者庁は米国の表示制度について、消費者の健康保護、利益確保の観点から、より慎重な姿勢で検討し、食品表示基準(案)として整理したことを評価」とした。
 確かに消費者庁は米国のダイエタリーサプリメント制度を、日本の反面教師にした形跡がうかがえる。米国の「販売後の届出」を、日本は「販売前の届出」にした。また、機能性の科学的根拠としてヒト対象の臨床試験か、研究レビュー(発表された研究論文などの文献をすべて見て評価)が必要などとする事業者向け全111ページに及ぶ「ガイドライン」を公表した。だが、片や日本生協連は、こうも指摘している。
「届出制度が形骸化してしまえば、米国のように、科学的根拠に基づかない商品が流通することによって、消費者の…健康が損なわれるおそれがある」
 当初から新制度に反対の全国消費者団体連絡会は「重大な懸念は届け出た機能性成分の安全性や効果について、国や公平な第三者機関による科学的な評価を受けていないこと」として否定的だ。
 同様に反対の日本弁護士連合会も「届出制である以上、…安全性・有効性に関する情報の審査は、形式的なものにならざるを得ず…健康被害を生じさせ…」と指摘する。
 企業の自己責任というが、健康被害などを発生させた場合の罰則が強化されたわけではない。また、“いわゆる健康食品”の健康被害の問題も放置したままの新制度のスタートだ。
 健康不安と健康被害の狭間に立つ消費者は、何をどうすればよいのか。先の食品の新たな機能性表示制度に関する検討会委員の梅垣敬三国立健康・栄養研究所情報センター長は「バランスのとれた食事や運動などの生活習慣が、健康の保持増進の基本です」と諭す。この言葉を噛みしめながら、健康食品に依存せず、野菜たっぷりの食生活の原点に返り、自分と家族の自己防衛を図りたい。
(文=石堂徹生/農業・食品ジャーナリスト

2016年8月22日月曜日

クスリによる認知症リスク!

みなさん、こんにちは!ご機嫌よろしゅうございます。

本日、2回目の更新です。みなさん、台風の影響は大丈夫ですか?
当院はさすがに夕方まで閑散としており、おかげでブログを書いたりホームページの更新などにたっぷり時間を使うことができています(苦笑)。
最近サボりがちでしたので、きっと神様からの「真面目にやりなさい」というお告げなのでしょう(^^;

今回の記事は薬に関してです。
薬を長きに渡って飲み続けると、様々な副作用が出てきたり胃腸や腎臓肝臓を中心に様々な臓器にも悪影響が出てくるというのはみなさんもご存知かと思いますが、認知症やアルツハイマー病の原因にもなってくるということも分かってきたようです。
これだけなら特段そこまで驚きはしなかったのですが、私が驚いたのはその影響が出始めるまでの服用期間です。
なんとたった3ヶ月で認知症リスクが上昇し始め、3年でかなりの差が出てくるというのです。
そう考えると、認知症の方が年々増え続け社会問題になっている現代、花粉症や睡眠障害などで苦しむ方がどんどん増えそれに伴い薬を飲んでいる方が増え続けていることも、大いに関係があるのではないでしょうか?
おそらく、その結果なのだと思います(もちろん他にも原因はあると思いますが)。

花粉症や睡眠障害は確かにつらいので薬に頼りたくなる気持ちも分かりますが、だからといって安易に薬を飲んでその場限りの対処を続けていると、そのツケは必ず後でやってきます。
今から生活を少しずつでも改善することで根本的に治した方が良いか、生活はそのままに後で代償を払うのか。言うまでもありませんが、もちろんその代償は本人だけでなくご家族含め周りの方々も支払うことになります。
それらのことをよくよく考えて決断されることをオススメいたします。



不眠症や鼻炎の薬の過剰摂取が認知症リスクを高める!


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処方薬でも危険なケースが?
 ドラッグストアで手に入る身近な薬でも、安易に長く飲み続けると、深刻な副作用を起こす可能性があることが指摘されている。
しかし、医療機関で処方される薬であっても同様に危険なケースもある。
 2015年1月、米国医師会が発行する医学雑誌『JAMA』にひとつの新しい研究報告が掲載された。それによると、不眠症やアレルギー性鼻炎などに処方される「抗コリン薬」を高齢者が長期間過剰に服用すると、認知症を発症するリスクが高くなるというのだ。
 抗コリン薬とは、神経伝達物質のひとつであるアセチルコリンが、アセチルコリン受容体に結合するのを阻害する薬だ。この抗コリン作用によって副交感神経が抑制されるもので、主に胃腸けいれん止めや吐き気止め、抗うつ薬などにも使用されている。さらに総合感冒薬や花粉症、めまい、酔い止めなどとして処方される「抗ヒスタミン剤」にも抗コリン作用がある。私たちにとって、ごく身近な薬剤なのだ。
 これまでも抗コリン薬を使うと、一時的に認知障害が生じる場合があることは知られていた。だが、それは服薬を中止すれば元に戻るものだ。しかし、一方では「認知症との関連もある」と見る研究も少なからず存在していた。

434名の高齢者への追跡調査で判明

 今回の研究では、ワシントン大学のShelly L. Gray医学博士らの研究チームが65歳以上で認知症の兆候が出ていない434名を対象に、2年ごとに追跡調査を実施。それぞれの投薬記録から抗コリン薬の投与状況を調査して、後に認知症と診断された割合と合わせて分析を行った。
 期間中、被験者の間で最も多く服用されていたのは、抗うつ薬や花粉症の薬、睡眠補助薬となる抗ヒスタミン薬、失禁抑制薬など。そのうち2割は、薬局の店頭で購入できる一般用医薬品だった。
 結果的に、調査参加者の2割強に当たる797名が認知症を発症。そのうち8割はアルツハイマー病だった。そこで、認知症及びアルツハイマー病の発症と、抗コリン薬の使用状況の関係を調べたところ、抗コリン薬を長期間に渡って多く服用するほど認知症のリスクが増していたという。
 標準的な1日の用量を合わせて3カ月~1年間使用した場合、認知症の発症リスクは1.19倍に増加。さらに3年以上使用すると、認知症全体の発症リスクは1.54倍、アルツハイマー病の発症リスクは1.63倍に増加していた。つまり合計で3カ月以上服用すると徐々に認知症リスクが上昇し始め、3年を越えると有意な違いが出てくるという。
ちなみに今回の研究では、薬剤による違いは明らかになっていない。

複数の薬を飲む人はさらなる注意を

 注意したいのは、65歳以上の人が1日に2種類の抗コリン薬を服用していれば、半分の期間で同じリスクが生じる可能性があるということだ。
そして、連続して服用した期間ではなく、長年にわたる「合算」であることにも注意を払うべきかもしれない。アレルギー性鼻炎の薬や神経疾患の治療薬などは、ある程度長く飲み続けることがある。そう考えるとこの問題は、高齢者だけのものでなないだろう。
 医療従事者だけでなく薬を処方してもらう私たち患者も、ある程度このリスクを認識しておく必要があるのではないだろうか。抗コリン薬の使用は、時間をかけてゆっくりと最小限の量に減らしていく努力が重要だということだ。
(文=編集部)

コレステロールの新常識

みなさん、こんにちは!ご機嫌よろしゅうございます。

久しぶりの更新になります。
私事ですがこの夏に引っ越しをし、そのため少しバタバタしていました。
また新しくホームページを開設するに伴いアメブロを開設しましたので、近くブログも引っ越しをする予定です。

今回の記事は脂質、コレステロールについてです。
日本の医療も少しずつ変わってきたなぁ~と実感しますが、こういった食事などの情報についてもそうです。
一昔前でしたら、「コレステロールは高くても問題ない!」といった情報など絶対に表に出てくることはなかったと思います。

しかし、記事の後半部分にあるような「高タンパク質・高脂質のMEC食」に関しては、私個人的には賛同しかねます。やはり私は日本人には日本人に合った食...「まごわやさしい」といった和食が一番良いと思っています。

とはいえ、これはあくまで基本的にはという話。最終的にはその人その人に合った食生活を見つけていただければと思います。
大事なことは、「コレステロールは体に悪い!」「これを食べたら病気になる!」などと間違った思い込みに支配され、必要以上にネガティブな感情を抱えないこと。
「これは悪い」「これはダメ」と考えながら食べれば脳もそう判断し、実際に体に悪影響を及ぼします。
脳の影響というのは、そのくらい強いものなのです。





アブラはたくさん食べるべき!?
ついにコレステロールの常識が覆った!

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卵はいくら食べても大丈夫?
 「コレステロール」と聞いて、まだ多くの人は「血液がドロドロに」「太る」「悪玉と善玉」など、健康に悪いイメージをするだろう。数値の高さを気にしてアブラ(脂質)の摂取を控えている人も少なくない。
 ところが、この"常識"がいよいよ変わろうとしている。「アブラは積極的に摂ったほうが体にいい」――。
 今年2月、米厚生省と農務省が設置した「食事指針諮問委員会」で「コレステロールは過剰摂取を心配する栄養素ではない」という報告書を公表した。各種調査結果から、「食事によるコレステロール摂取と(動脈硬化などの病気の危険を増すこともある)血清コレステロールの間に明らかな関連性はない」と結論付けた。
この見解は、米国人の食生活に関するガイドライン(2015年版)で示される。
 日本でも昨今、「炭水化物(糖質)は控えたほうがいい」という「糖質制限」ブームが起きた。これを主張してきた医師の中にも、脂質の積極的な摂取を主張する人は多い。
 これまで3000人を超える肥満や生活習慣病の患者を治療してきた、こくらクリニック(沖縄県)の渡辺信幸院長は、次のように説明する。
 「コレステロール値が高くなると動脈硬化が起きると言われているが、元々の根拠となっているのは、1913年にロシアの病理学者ニコライ・アニチコフの実験。ウサギにコレステロールを与えたら動脈硬化を起こしたというものです。草食動物のウサギに無理やりコレステロールを食べさせても受け入れられるはずがない。しかも、このときウサギにできた動脈硬化は血管の外側。血管の内側にできる人間とは全く違う症状でした」

悪者にされたコレステロールは "被害者"だった?

 コレステロールが動脈硬化の原因だと考えられてきたことについてこう言及する。
「動脈硬化を起こした血管にコレステロールが付着していたことが発見されたのは19世紀のこと。しかし、近年の研究では、実際には動脈硬化による炎症で傷ついた血管をコレステロールが集まって修復しているということがわかった。火事でたとえると、『火を消すために現場に駆けつけたのに、そこにいるというだけで火をつけた犯人』とされた"被害者"だったわけです」
 コレステロールは体内に60兆個ある細胞の膜を構成する必須成分だ。そしてもうひとつの大事な役割はホルモンの材料になること。よく知られている男性ホルモンや女性ホルモンをはじめ、甲状腺ホルモン、体内の炎症を抑える副腎皮質ホルモンなどを合成する。
 最近では、コレステロール不足が脳内物質セロトニンの不足につながり、うつ病やアルツハイマーの原因になることがわかっているという。

卵は一日3個以上食べたほうがいい

 とはいえ、「コレステロールを食べすぎると太るのでは」という心配がある。
 渡辺医師は「食べ過ぎた脂質は人体に吸収されず、最終的には水分と二酸化炭素として排泄されてしまうので、多くは下痢をしておしまいです。動物性脂肪を避ける人が増えていますが、肉の脂肪分には人の体内では合成できない必須脂肪酸が含まれています。体に必要な栄養素を摂らないから、体調を崩したり病気になったりする」と指摘する。
 そこで渡辺医師が推奨するのは、肉(Meat)・卵(Egg)・チーズ(Cheese)を積極的に食べる「MEC食」だ。1日に肉200g、卵3個、チーズ120gを食べるのが基本。これだけで、毎日の必須栄養素をほぼ網羅することが可能だという。
 「穀物・野菜中心の食事では必須栄養素が足りず、人体はガス欠状態になって傷みます。しかし高タンパク質・高脂質のMEC食は血液や筋肉や骨になる材料としては十分。その働きを助けるビタミンやミネラルも豊富です」
 
 ただし、すでに世界的に規制の広がっているトランス脂肪酸は摂取を控えたほうがいい。心筋梗塞や狭心症のリスクを高め、アレルギー疾患を増加させる可能性がある。トランス脂肪酸は、マーガリン、ショートニング(食用油)、クリームなど人工的に作り出されたものに含まれる。
(文=編集部)

2016年8月9日火曜日

農FUTURE!

みなさん、こんにちは!ご機嫌よろしゅうございます。

久しぶりの更新は農業についてです。私も時間さえあれば自分で自然農法をし、自分や家族の食べるものは安全なものを用意したいですね。




農業に目覚める若者、なぜ急増?遺伝子組み換え作物の
農業支配、無農薬の自然栽培を破壊?
「農FUTURE!未来を作る5人+αの百姓のお話」のイベントの様子(「YouTube」より)
近年、農業に目覚める若者が多いという。
 9月12日付日経産業新聞記事『芽吹く農系女子 就職先多様化で志願者増』によれば、「大学の農学系学部の人気が高まっている。けん引役は女子学生だ。就職先も多様化しており、人気を見込んで各地で農系学部が新設される。ノケジョ』と呼ばれる農系女子が芽を吹き始めた」という。
 なんと「男臭い『大根踊り』の印象が強い東京農業大学も実に新入生の4割強を女子が占め」「明治大農学部の女子の志願者は6年前から1500人以上増えた。この間、男子学生の増加は1000人にも満たない。女子の急激な志願者の増加が、全体の倍率を引き上げ、農学部のレベルを高めている」という。
 背景には、食の安全性への意識が高まったことと、バイオ技術の進展で食料だけでなく、環境や生命といった課題の解決も期待されるようになり、生活の基盤を築く学問だとの意識が浸透してきたことがあると関係者は指摘する。
 合格倍率を見ても、「全国の私立大学の学問分野別の合格倍率(志願者数を合格者数で割った倍率)は農系学部は3.76倍と医師、薬剤師の仕事に直結する医薬系学部」(医学部は14.16倍、薬学部4.14倍)に次いで高く、理工学部(3.03倍)や、法学・経済学などの社会科学系学部(2.73倍)を上回っているのだ。
 ただし、農系学部は初期の設備投資がかかるために、農学部を抱える私立大学は全国に6校しかないことも影響している(明治大、東京農大、玉川大学、名城大学、近畿大学、東海大学)。このため、龍谷大学(大津市、瀬田キャンパス)など3校で2017年までに農系学部が新設される計画だという。

●自然栽培に目覚める男性たち

 一方で同記事によれば、男性も農業に目覚め始めているという。こちらは、「自然栽培」だ。自然栽培とは、定義に決まりがあるわけではなく、農家によってやり方が異なるものの、通常、農薬、無肥料、不除草(草取りをしない)、不耕起(耕さない)などを特徴とする農法だ。「自然農法」と呼ぶこともある。
 8月31日に東京・日比谷で「農FUTURE!未来を作る5人+αの百姓のお話~僕らとあなたと農の行き先~」というイベントが開催された。このイベントは自然栽培に関わる6人の男性たちが、その魅力と将来像を話すもので、会場は200人を超える参加者で満員となる人気ぶりだった。
 出演者たちは、農業に関わるようになったきっかけを次のように語った。
「食品添加物だらけのパンのメーカーに就職して企画開発し、売りまくっていたものの、そうした生活に疑問を感じたことがきっかけ」
「建築業界にいて、それだけではあまり誇れない自分に気がついた。かっこよく、楽しく、おいしく生きたい」

「料理人として活躍中に、不摂生や心労も重なり、心室細動で45分間心臓停止を起こす。この体験から食の大切さを改めて実感。一人でも多くの人に体が喜び、体に優しく、笑顔になれる料理を提供したいと農家直送の自然栽培野菜を使ったケータリングサービスを開始した」
 添加物まみれの食品が氾濫し、TPP(環太平洋戦略的経済連携協定)によるGMO(遺伝子組み換え)作物の輸入のカウントダウンが始まるなど、食をめぐる環境の激変ぶりに危機感を抱き、自らの体の変調などをきっかけに農業、自然栽培へ目覚めたのだ。農業を語る出演者たちの表情は生き生きとしている。

●遺伝子組み換え作物に席巻される?

 なお、このイベントの主催者・岡本よりたか氏も自然栽培農家。岡本氏はこう語る。
「私はもともと、メディア関係で農薬の取材などをしていました。農薬問題は中国などでは非常に多く、日本の農家でも農薬中毒で亡くなる人がいました。ただし、慢性毒性のために医者の間で情報が共有されず、いろいろな病名がつけられるだけだったのです。
 その後、IT系の仕事に就いたのですが体調を壊して、それをきっかけに食べ物ぐらい自分で作ろうと思い農業を始めました。そのときに農薬が体に悪いと思っていたので、農薬は最初から使わないでいこうと決めました。また肥料も環境を壊すなど疑問があったので、無農薬・無肥料で栽培することにしたのです」
 現在、GMO作物の危険性も訴える岡本氏。
「GMOはさまざまな危険性が指摘されていますが、『農業支配』という危険性もあります。GMOを作るバイオテクノロジー企業は、そのタネの特許を取得していて、GMOを栽培する農家のタネ取り(自家採種)を特許違反で訴えようとします。その国のタネ業者も買収して、事実上、GMOのタネしか流通させなくするのです。
 自然栽培はタネ取りが基本です。品種改良が進んでいるタネを何年かかけて原種の状態に戻します。さらに、その土地の環境(土質、気温、水、地中の微生物)に合った良いタネを作り、このタネで栽培するのです。環境を記憶したタネは肥料も農薬も不要です。根もその土に合ったようにしっかりとはりめぐらせるので、強風でも横倒しになることなく、干ばつにも強いのです。これは数十年前まで日本の農家がやってきたことですが、GMOのタネが入ってくれば、こうした自然栽培も打撃を受けかねません。その前に、できるだけ多くの人が自然栽培に目覚め、このタネを広めてほしいと考えています」
 次は自然栽培で穫れた野菜を料理として提供し、自然栽培を食の面から堪能するイベントを年末に開催するべく計画中だという。
(文=松井克明/CFP)